もっと厳しい筋書きも

臼杵市望月で開かれている「かかし祭り」 あと1時間大雨が続いていたらどうなったか-。「台風18号の総括(私見)」と題された資料をいただいた。「剣道家としての『吉丸一昌』について」などの資料を以前いただいたことがある大分市在住の郷土史家の方からだった。氏は「大野川、番匠川、大分川も本堤防の大規模決壊、中小河川の内水氾濫等、また土砂崩れが今回以上に発生したと思われます」と書いている。誰でもより深刻な事態を想像するだろう。18日は午後6時前から同7時すぎにかけて大分県内の主要港が満潮を迎えた。台風の進路、速度が少しでも違っていたら、より厳しい最悪の筋書きもあり得たことは肝に銘じておくべきだろう。

 大分合同新聞の朝刊に「あすの潮」が掲載されている。北から中津、香々地、大分、佐賀関、臼杵、津久見、佐伯各港の満潮、干潮の時刻が書いてある。

 16日付朝刊には17日の「潮」が載っていた。17日は台風18号が猛威を振るった日である。佐伯港は満潮が午後5時53分、津久見港は同6時22分、臼杵港が同6時27分、佐賀関港は同7時1分、大分港が同7時6分だった。

 感覚的に言えば、当日の午後5時や6時ごろは台風による雨風のピークは過ぎていた。仮に台風がもう1、2時間付近にとどまっていたら、被害はさらに拡大した可能性が強い。より厳しい「最悪のシナリオ」もあり得たと考えられる。

 さて、「台風18号の総括(私見)」で氏が指摘した問題点の一つが、昨年の台風16号の教訓は生かされたのかどうか。望月地区のかかし祭りから昨年の台風16号は佐伯市蒲江に短時間で記録的な豪雨をもたらした。

 氏によると、14日から16日にかけて気象庁の進路予想と衛星画像をウォッチし続けたところ、鹿児島から豊後水道を経て四国、さらに山陰に抜けるコースの進路予想が出てきたという。

 このコースは、大分県は暴風圏の中心から遠くなり暴風被害は減るが、豊後水道から大分県に向かって風雨が吹き込み、台風のスピードが遅い場合には豪雨を加速する最悪のコース-と氏は言う。

 続けて、昨年の台風16号は、四国までは今年の台風18号とよく似たコースを通過し、大分県南に豊後水道からの風雨が多量に入り込んだと指摘する。

 つまり、氏は台風18号が昨年の台風16号と似たようなコースをたどると予想できた時点で、行政が打てる手はあったのではないか、もっと備えられたのではないかと考える。

 氏は今回の被災自治体の多くが、この衛星写真から読み取れる災害の予兆を見落としたのではないかと指摘する。結果、氏は行政が後手に回った感があると書く。

 例えば気象庁の気象情報の活用についても疑問を呈する。稲が倒伏している田も目に付いた「『記録的短時間大雨情報』を受けての活動は、既に降った情報ですから、災害対応としては後手に回ります。『記録的短時間大雨情報』が発表される恐れがあるであろう予兆を、事前に想定する必要があるかと感じます」と氏は書いている。

 9月14日付佐伯支局長日誌「台風襲来は常とは言え」でも取り上げたが、県議会などで気象予報士をもっと積極的に活用すべきでは、との質問があった。県当局などは慎重姿勢だったが、氏の指摘にある通り、次に起こるであろうことを予測し、対策を講じるために気象の専門家ともっと積極的に連携する必要があるのではないか。

 まずは復旧・復興であり、台風18号に対する行政の対応についての検証などはもう少し落ち着いてからということになる。ただ、肝心なことは検証を怠らないことだ。行政の対応が適切だったのか。細々と書き続けているこの日誌でも、将来の大災害に備えて、できる限りチェックしていきたいと思っている。

 ところで、前に氏からいただいた資料については5月19日付佐伯支局長日誌「140年前に起きた戦争」で少し紹介した。とりとめもなく書いてきたこの日誌に時折ご意見などをいただくことは有難いことである。

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