ハザードマップの作成

国交省の発表資料 「ハザードマップ」「作成」の二つのキーワードでネット検索すると、「水害ハザードマップ作成の手引き」が出てきた。表紙に「平成28年4月」「国土交通省水管理・国土保全局 河川環境課水防企画室」とある。昨年4月に水害ハザードマップ作成の手引きの改定版が発表された。その時のプレスリリースも見つかった。まずはこれでハザードマップについて少し勉強することにした。

 読んでいくと最初に「本手引きの改定にあたって」とある。書き出しに、2015(平成27)年の水防法改正により、国、都道府県又は市町村は想定し得る最大規模の降雨・高潮に対応した浸水想定を実施し、市町村はこれに応じた避難方法等を住民等に適切に周知するためにハザードマップを作成することが必要となった-とある。

 さらに、「同年9月の関東・東北豪雨において、氾濫域に多数の住民が取り残され救助されるなど、国交省の「鬼怒川決壊の概要」からハザードマップが作成・配布されていても見ていなかったという状況」があった。また「一般的なハザードマップに記載されている浸水深・避難場所等の情報だけでは住民等の避難行動に結びつかなかった状況も見られた」と続ける。

 そこで、「これらの背景を踏まえ、水害ハザードマップをより効果的な避難行動に直結する利用者目線に立ったものとするため、『水害ハザードマップ検討委員会』に参画された有識者の方々より意見を伺い、従来、洪水、内水、高潮・津波に分かれていた各ハザードマップ作成の手引きを統合・改定した」と説明している。

 プレスリリースによると改定のポイントは四つある。

 ①水害時に屋内安全確保(垂直避難)では命を守りきれない区域が存在するため、市町村は「早期の立退き避難が必要な区域」を設定する

 ②地域により発生する水害の要因やタイミング、頻度、組み合わせは様々に異なることから、市町村において事前に「地域における水害特性、社会特性」を十分に分析することを推奨する

 ③住民目線となるように「災害発生前にしっかり勉強する場面」「災害時に緊急的に確認する場面」を想定して、市町村は水害ハザードマップを作成する

 ④ 洪水、内水、高潮・津波に分かれていた各ハザードマップ作成の手引きを統合・改定した

 ①から③までを行うのは市町村である。国交省による市町村支援ツールもあるしかし、国が改定版の手引きだけ示して「あとはよろしく」と市町村に丸投げされても、具体的にどうやればいいのか、戸惑う市町村もあるはずだ。そこで「水害ハザードマップ作成支援ツール」をつくり、国交省のホームページで無償公開しているとの説明があった。

 それが国土交通省のハザードマップポータルサイトということになるのだろうか(よく見てみると、作成の手引きの下に「作成支援ツール」があった)。ポータルサイトには「わがまちハザードマップ」があり、全国の市町村が作成したハザードマップが閲覧できるようになっている。

 大分県津久見市を検索してみる。日本地図から大分県を選んでクリックし、出てきた大分県の地図で津久見市を選ぶ。津久見市では洪水ハザードマップと津波ハザードマップがネットで公開されているが、「内水」「高潮」「土砂災害」「火山」の各ハザードマップは公開されていない。

 佐伯市は「洪水」「内水」「津波」「土砂災害」の各ハザードマップを公開し、「高潮」「火山」のハザードマップは公開していない。臼杵市も佐伯市と同じであった。

 市町村によるこの違いはどんな理由なのだろう。さらに疑問がある。水害ハザードマップ作成の手引きの改定ポイントの一つが「洪水、内水、高潮・津波に分かれていた各ハザードマップ作成の手引きを統合・改定した」ことだった。

 つまり、市町村は統合された手引きに基づいて洪水、内水、高潮・津波の各ハザードマップの見直しを行ったのだと思うのだが、それぞれのマップがネットで公開非公開に分かれているのはなぜだろうか。基本的なことがよく分かっていない。

 ここで、水害ハザードマップ作成の手引きを改定する要因の一つとなった関東・東北豪雨についておさらいしておきたい。国交省が公表した「平成27年9月 鬼怒川決壊の概要」があった。

 台風18号及び台風から変わった低気圧に向かって南から湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本から北日本にかけて広い範囲で大雨となった。気象庁によると、9月7日から11日までに観測された総降水量は栃木県日光市今市で647.5ミリ、宮城県丸森町で536.0ミリとなるなど、関東地方で600ミリ、東北地方で500ミリを超えるなどの豪雨となった。

 この結果、19河川で堤防決壊、67河川で氾濫など被害が発生し、17都県で177カ所の土砂災害が起きた。鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市では市域の約三分の一にあたる約40平方㎞が浸水し、多くの住民が孤立し、約4300人が救助された。

 問題はこうした豪雨が場所を変えながらも毎年のように繰り返されていることである。国交省が住民避難のためのハザードマップをより使いやすく、有効なものにしようと考えるのも当然といえる。

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