味気ない地域医療構想

大分市にある大分県地域保健支援センター 哲学的なものが書いてあるなどとは思ってもいないが、あまりに味気ない感じがしたので当てが外れた気分になった。「大分県地域医療構想」のことである。県在宅医療推進フォーラムを聞きに行った(10月21日付佐伯支局長日誌「大分全域をホスピスに」)ことをきっかけに、厚生労働省の医療政策に興味を持った。同省が主催した全国在宅医療会議の議事録を読み、そこにあった地域医療構想について調べてみようと考えた。一読すると、将来の病床数の予測が中心で、関係者以外はあえて読もうとする人もいないのではないか、そう思わせる資料だった。

 人口減少と高齢化が同時進行していく中で将来の医療需要を予測し、必要なベッド(病床)数を確保していくのは重要な作業である。ただ、地域医療構想に盛り込まれているさまざまな数字がどんな意味を持ち、どんな影響を及ぶすのか、素人には分かりにくい。

 地域医療構想のターゲットは2025年である。戦後間もない1947(昭和22)年から49(同24)年生まれの「団塊(だんかい)」が75歳以上の後期高齢者となる。医療需要と必要病床数の予測ちなみに大分県ではこの世代が約6万6千人いるそうだ(2010年国勢調査)。

 2025年の大分県の推計人口は109万4千人だから、団塊世代が順調に年齢を重ねていけば25年では県の人口の約6%を占めていることになる。一つの年代の塊(かたまり)としては大きなものだ。

 だからこそ、2025年以降の医療需要の予測が重要になるというわけだ。大分県の総人口は減るが、高齢者人口は増える。特に高齢者でも75歳以上が増えていき、医療需要が高まる。

 予測によると、入院と在宅で13(平成25)年に1日当たり27310人だった医療需要は25年に31981人に増加する。1日当たり約4700人、率にして約17%の増加となる。これに対し医療機関のベッド数は13年の13642床から14649床に増えると見込む。約1000床、約7%の増加にとどまる。この間を埋めるものと期待されるのが在宅療養者への訪問診療である。

 大分県での医療サービスの提供体制はこう変わっていく。そう言われても自分とどう関係するのか、もう一つピンと来ない。他方、負担の方は分かりやすい。

 県民医療費は11年の4345億円から25年は6201億円と約1.4倍に、2040年には8689億円と約2倍になるとの試算がある。介護給付費も膨らんでいく。10年の882億円が25年には約1.8倍に、40年には約2.7倍にそれぞれ増加するとの試算も紹介されている。

 医療需要も医療費などもあくまで試算であってもっと大きくなることもあるし、小さくなることもあるかもしれない。例えば大分県は今「健康寿命日本一」になるべく運動を展開している。こうした健康長寿の取り組みは医療需要や医療費抑制にどの程度効果がきたいされるのだろうか。そこがよく分からない。

 一方、医療技術の進歩、高度医療の推進によって医療費はもっと高く可能性もある。今示されている将来の医療需要と医療費予測が県民の努力や工夫によって抑制されたり、効率化されたり、質的に向上したり-することはないのか。地域医療構想の後半に健康寿命のことなども書いてあるが、効果を試算し、具体的な数字で示すことは行っていないようなのだ。

 ところで、増え続ける医療需要もピークアウトする時が来る。必要病床数は2030年ごろの15177床でピークになる見通しだという。高齢者も含めた人口減少が加速していくためである。

 

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