いっそ取って代われば

IOTと未来をテーマにした会議 知ったかぶりして何かものを言うことは控えなければと思うのだが、つい一言口にしたくなる。詰まらない考えが浮かんでくる。30日に大分市で「IoTで繋がる地域社会と未来~地域発のイノベーション」をテーマにした会議が開かれた。午前10時から午後5時までの日程だが、門外漢がそんな長い時間とてもついていけそうにない。実際に聞いたのはそのうちの1時間半だけで、保育や介護の現場での導入事例だった。

 短い時間だったが、それでも考えるところはあった。例えば介護や保育の職場がAI(人工知能)やロボットに取って代わられたらどうだろうかと。それも未来の選択肢の一つなのかもしれない、と。

 会議の名称は「ハイパーネットワーク別府湾会議2017」。公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所所長をトップに西日本電信電話(NTT西日本)、富士通、日本電気、大分県で構成する実行委員会が会議の主催者となっている。

 ちなみにハイパーネットワーク社会研究所のホームページを見ると、所在地は大分市で、1993(平成5)年に大分県、NTTデータ、NTT(日本電信電話)、富士通、日本電気で設立されている。会議の案内チラシ堂々巡りのようだが、要するにこうしたメンバーが主催する会議である。

 基調講演で3人が登壇する。テーマはそれぞれ「ドイツにおけるIoT推進事例~インダストリー4.0」「海外ベンチャーにおけるIoT事例」「Orchestrating a brighter world ~IoT時代の社会価値創造」となっている。インダストリー4.0という言葉は耳にしたことはあるが、どれもちょっと縁遠いように思える。

 基調講演は遠慮して業種別セッションを聴くことにした。セッションはAとBがあり、同時に別会場で行われる。Aは「農林水産業×製造業×IoT」で、Bは「福祉・医療・保健×製造業×IoT」だった。どちらも面白そうだったのだが、今回はBを選んだ。

 Bセッションで中心になったのはユニファ株式会社の社長で、保育園、保育事業でのIoT活用の現状とその先の可能性、計画が語られた。もう一つ大分で進められている事業の説明もあった。こちらはモバイルクリエイト株式会社(大分市)が、大分県中津市にある社会福祉法人九州キリスト教社会福祉事業団中津総合ケアセンターいずみの園とともに推進しているプロジェクトだそうだ。

 保育施設に対する需要が高まる一方、東京を中心に保育士不足が深刻化している。保育施設の利用状況を見ると、特に1・2歳児の利用率が急速に高まっているのだそうだ。育児休業を終えて職場復帰する母親が増えていることがその背景にあるという。

 保育施設に預けられる赤ちゃんで心配されるのがSIDS(乳幼児突然死症候群)。SIDSによる死亡事故は年間100件前後発生しており、寝ているときにうつぶせになって息ができなくなって死亡するケースが多いという。そこで保育士が寝ている姿勢などを5分おきにチェックして記録し、事故を防止することになっている。

 だが、これは大変である。少しでも保育士の負担を軽減できないか、と考えたのが始まりだという。園児の状態を自動的にチェックして、例えばうつぶせが1分続けば光と音の警報で保育士に知らせる仕組みをつくってはどうか、とユニファは考えた。園児の上着につけたセンサーがその姿勢を自動的に記録し、保育士のスマホに送信する。異常を感知すれば警報を出すので事故を未然に防げるという。

 同社はさらに「スマート体温計サービス」や「業務書類のデジタル化支援サービス」も計画し、将来的に「スマート保育園」をつくれないかと考えている。園児を見守るAI(人工知能)、ロボットを保育士の補助として使い、園児1人1人をきめ細かくケアする。結果、新人やパートで園児をよく知らない保育士でもベテラン保育士並みに目配りした仕事ができるようになることを目指しているのだそうだ。

 モバイルクリエイトのプロジェクトはいずみの園の特別養護老人ホームを舞台に進められている。こちらは介護福祉士や看護師などの業務を補助し、効率化できる部分を効率化し、介護・看護の質を高める試みという。

 IoTはInternet of Thingsの略で「モノのインターネット」などと訳されている。そういわれてもよく分からない。ポイントは大量のデータを収集し、同時に分析・解析を行うことだという。

 例えば乳幼児や高齢者の普段とちょっと違うデータが出てきた時、保育士や介護福祉士などに注意を呼び掛けるのも、その一つということか。インフルエンザの流行なども多くの人のデータに共通なものを拾い出していち早く感知できるようになるかもしれない。

 ここでの話のもう一つのポイントは、AIやロボットなどはあくまで人間が核となる業務に集中できるように補助する役割にとどまるということだった。人間でしかできない業務に専念するため、機械などで補える部分は最大限活用する。そんな位置づけだという。

 ただ、保育士などの人間のいない保育施設、介護施設というのを考えてはいけないわけではない。それも近未来には保育施設などを選ぶ際の「選択肢の一つ」になっているかもしれない。いろいろな課題を抱えつつも身近なところにさまざまな変化が起きつつある。

 それを実感したのがこの会議を覗いた収穫だった。学生と思われる若者も少しいたが、聴衆の多くは背広姿の男性だった。介護や保育などは関心が高いテーマであり、うまくPRすればもう少し聴衆の幅も広げられたのではと思った。

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