竹サミットと臼杵竹宵

 火をともす竹を並べる子どもたち「豊かな暮らし」とは何か。「身近にある物を上手に使うこと」だとしたら、現代人は昔の人々に比べて賢いとはいえないかもしれない。臼杵市中心部にあるサーラ・デ・うすきに行ってみると、中庭で子どもたちが竹筒を並べている最中だった。4日と5日は「うすき竹宵」が行われる。偶然だろうが、この両日、大分市にある日本文理大学で「アジア竹サミット・大分2017」が開かれている。二つの催しは、やっかいものとされる竹を使って日々の暮らしに彩と温かみを加えていく試みといえば一つに括れるかもしれない。

 うすき竹宵は昨年見物させてもらった(2016年11月5日付佐伯支局長日誌「うすき竹宵を見に行く」)。

 その日誌には以下のようなことを書いていた。

 二王座歴史の道など城下町の風情が残る臼杵市中心部の町並みに竹ぼんぼりが並べられ、オ昨年のうすき竹宵の風景レンジ色の温かな光で通りを照らし出す。光の中をゆっくりと歩きながら晩秋の夜を過ごす-。そんな静かな雰囲気を想像していたが、ちょっと違った。狭い道に大勢の見物客が来るのだから、そんな悠長な話ではない。旧真光寺前には、作品を見るための長い行列ができていた。

 今年は行けそうにないので、昼の準備風景を写真に収めることにした。まず向かったのが八町大路(中央通り商店街)にあるサーラ・デ・うすき。それが冒頭の写真である。あちこちで準備作業に忙しい中央通り商店街では寿司や焼き鳥、豚汁などの夜店の準備が進んでおり、竹でこしらえた神社が設けられていた。

 八町大路から二王座に向かうと、あちらこちらで準備作業をする姿があった。昨年、見物をあきらめた旧真光寺はどうだろう。入ってみると、大方飾りつけが出来上がっているようだった。旧真光寺の今年の展示作品「オブジェ制作 崇城大学建築学科内丸研究室」とある。

 うすき竹宵は今年21回目だが、この研究室はかなり早くからかかわっているようだ。うすき竹宵の歴史を少し調べようと、大分県立図書館で資料を探したことがあった(2016年10月22日付佐伯支局長日誌「図書館でうすき竹宵を調べる」)。日誌には、大分合同新聞の昔の記事を探して「まちを照らす灯 10年目のうすき竹宵」(上中下の3回企画)を見つけた、ことを書いた。

 竹ぼんぼりを使った祭りは臼杵を発祥として各地に広がっていった。大分県内でも竹田市の「竹楽」、日田市の「千年あかり」が生まれた。

 竹を中心市街地の街づくりに、観光資源に生かす-臼杵市の取り組みは先駆的だったといえる。

 「アジア竹サミット・大分2017」開催の狙いはもう少し幅広い。年に一回のお祭りのようなものではなく、もっと日常的に竹が身近に使われるようにしたい。大分市で開かれたアジア竹サミットかつて家づくりに竹が欠かせなかったように。というわけで、日本だけでなく、中国、韓国、台湾の研究者などとも知恵を出し合って、「竹」の可用性を広げ、その有用性を広くPRしていこうというのが、このサミットを開く目的のようだ

 初日の4日には中国、韓国、台湾の研究者の発表が行われ、5日には「地域行政と竹産業」と題した別府市長の講演などが予定されている。日本文理大のキャンパス内にあった案内板キャッチフレーズは「発信する!竹の文化」。主催は大分県竹産業文化振興連合会、別府市、日本文理大学。同大学の創立50周年記念事業であり、県竹産業文化振興連合会設立5周年事業でもあるという。

 別府市は大分県の竹工芸の中心地である。今年は同市の生野祥雲斎(故人)が1967(昭和42)年に竹工芸の分野で初めて人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定されて50年の節目になるのだそうだ。

 サミットではプロダクトデザイナーの喜多俊之さんの基調講演「新素材としての竹」を聴いた。

 喜多さんは島根県松江市でオーダーメードの家具をつくる会社の「ウッドスタイル」とともに「Flat Bamboo Shimane」を開発したという。flat(平らな)というのは文字通り「平板」な竹を意味している。丸い竹を平らな板(厚さ7㎝から12㎝)に加工する。それを使ってテーブルや椅子につくる。竹は育つまでに50年も60年もかかるような木材と違い3、4年で使えるようになるのが良いという。

 今年4月のイタリアの見本市に出品し、好評を得たとの話だった。海外での評判が日本に逆輸入されて日本で人気になる。そのパターンになる可能性はある。喜多さんは炭素繊維と並ぶ新素材と竹を称した。竹という資源をどう使うか、興味深い視点だった。

 ただ、個人的に「へぇー」と思ったのは、古民家再生と絡んだ喜多さんの話だった。昔は土壁に大量の竹が使われていたという。何も知らなかった。土壁の補強材として昔は竹が大量に使われていたそうだ。建築を知る人間には当たり前の、常識のような話だろう。しかし、門外漢の当方は「目からうろこ」だった。

 そんなわけで「土壁」「竹」などをキーワードにインターネット検索をしてみた。すると、千葉職業能力開発短期大学校が「古民家における伝統的工法への取り組み~軸組み・土壁に関する実習報告」を公開していた。その6ページの報告書を読んでみた。竹を使った土壁づくりには随分と苦労したようだ。

 これから学ぼうとすることにつながりを見つけた。竹サミットでも収穫があった、意味があったと個人的に思った。

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