初めてのジョブカード

ジョブカードの案内チラシ 「ジョブカード」を知っている人はどれくらいいるだろう。ポリテクセンター大分(大分職業能力開発促進センター)で8日、今月2日に入所した訓練生のための第1回就職活動全体説明会が開かれた。テーマは「新ジョブカードについて」だった。ジョブカードの作成は履歴書を書くための準備作業でもある。説明会ではジョブカードを書くための前段となる「これまでの自分を振り返る作業」をすることになった。

 まずは「自分が熱中し、没頭し、ワクワクした経験を書いてください」とある。36年余の記者生活を振り返れば、特ダネだなんだのと大騒ぎしたこともあったし、他社に出し抜かれてほぞをかんだこともあった。しかし、今になって振り返れば、当時の自分が思ったほどには大したことでもない。改めてサラリーマンとして何をしてきたかと問われると、困ってしまい、何も書けなかった。

 ジョブカードを書くための「深めるシート」を目の前にして、同じ会社に勤め続けて定年を迎えたのは個人的には幸せなことだったのではないかと改めて思った。自分のサラリーマン人生を振り返るといった作業をせずにすんだ。

 深めるシートとは自分自身を理解するためのものである。シートは、熱中し、没頭し、ワクワクしたことを思い出して書いた後は、そのエピソードを基に「あなたの価値観と思われるものをリストから選んでください」と続く。

 価値観チェックの項目は20ある。最初は「人の役に立ちたい」。そう思っていればチェックを入れる。次に「リーダーシップを発揮したい」「社会的に評価されたい」「専門性を生かしたい」「経済的に豊かな生活をしたい」「安定的な生活をしたい」「動き回る仕事をしたい」‐などと質問項目が続いている。そこにある全項目は強く思うか否かの程度の差はあっても、そうしたいと思っていることばかりだといっていい。

 では、実際はどうか。それを自己採点したり、他者の評価を思い出してみたりするのが、次の「弱み強み」のチェック項目になる。項目は27ある。ポリテクセンター大分例えば最初の「相手が要求していることを理解して物事に取り組んでいる」について自己評価と他者評価の両方を記入する。

 自分が思っている自分と他人が考えている、評価している自分が違うことは、それなりに歳を取った今の自分にはある程度分かる。そこで、そんなことを今さら書いてみたところでどうなるのかとも思う。

 そんなこんなで自分振り返りシートを睨みながら一つ気づいた。よく言えば「過去を振り返らない」、悪く言えばなんだろう、「反省がない」か。要するに「過ぎてしまったことをいろいろ考えても詮無い、たいした意味がない」と考えている自分に気が付いた。これでは履歴書を磨き上げて、面接で実績を上手に売り込む「あるべき再就職活動」はできそうにもない。

 そもそものジョブカードの始まりは、今のような人手不足の時期とは百八十度違う、職探しが極めて難しい「就職氷河期」の若者を救済するために考えられたものだった。

 1990年代にバブル経済が崩壊し、大企業も債務(借金)、設備、雇用の三つの過剰解消を迫られた。大幅な人員整理が難しい企業は新規採用を抑え、新卒者が正社員になることは狭き門となった。

 正社員(正規雇用)になれない若者は非正規社員として働かざるを得なくなった。不安定な非正規社員のままでは将来の生活設計もままならない。非正規から正規への道を開く一つの方法として、様々な職場で働いた職歴などを生かし、評価されるような仕組みができないか。そんな発想でジョブカードができたように記憶している。

 仕事を見つけるのが難しい時代があった。今の若者には信じがたいことかもしれない。えり好みしなければ地方にもいろいろと仕事はある。ジョブカードのPR資料就職の超氷河期などまったく想像ができないのではないか。

 ただ、この状態がいつまでも続くわけではない。好不況の波はあるし、借金返済を先送りし、給料の前借りを続けるような経済政策がいつまでも続くわけもない。

 厳しい時を考えて、自分の職歴、経歴、技能などを客観的に見つめ、ジョブカードにまとめてスキルアップを図るのは意味あることだと思う。個人的にも一顧だにしなかった自分の過去についてもう少し考え、ジョブカードにまとめてみようと思う。

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