記事の数字が気になる

大分市が購入したパルコ跡地 大分市によるJR大分駅前の通称パルコ跡地購入については、この日誌でも何回か取り上げている(例えば11月11日付日誌「23億円は高い安い?」。大分市は20日付で所有者の社会医療法人恵愛会と売買契約を結んだようだ。購入価格は23億2千万円という。大分合同新聞が一面トップで大きく報じていた。新聞では契約締結の事実とともに、パルコ跡地を巡るこれまでの水面下の動きについて書いていた。

 当事者の公式な説明が少ない今回のようなケースでは、見えないところでどんな動きがあったか知りたいところで、興味を持って記事を読んだ。そして、読んでいくと最後にちょっと気になる数字が出てきた。

 記事には、ある不動産関係者の証言として「(土地購入価格で)30億円規模で提示した企業のうわさもあった」という話を引用している。しかし、記事には30億円の根拠となる数字のようなものは示されていない。もう一つ腑に落ちない、消化不良のような気分になった。30億円の信ぴょう性を高める材料を記事に加えることはできたのではないか。

 パルコ跡地を巡る簡単な経過はこれまでの日誌でも書いてきた。引用すると、「パルコが撤退し、跡地利用策が地元で模索される中で手を挙げたのが大分中村病院だった。新病院建設地として2012(平成24)年に土地約4300平方㍍などを約12億円で取得した。それが今年5月23日、新築移転の断念と用地の年内売却の方針を発表した」

 売却方針を受けて大分市の佐藤樹一郎市長が購入の検討を表明したのが6月だった(6月28日付日誌「一等地を市が買うの?」)だった。その結果、何が起きたか。

 大分合同新聞21日付朝刊には、パルコ跡地に関心を寄せた企業は多かったが、市が乗り出してきて、購入に向けた「本気度」を示したことで、パルコ跡地を購入するための入札参加を見送った企業は少なくないとみられる、とあった。

 記事によると、市のほかに企業1グループと1社が入札に参加したが、2次審査で市以外は辞退。新聞には「辞退相次いだ入札」「地場企業 お上が出るならもめたくない」「市との競合を敬遠か」という3本の見出しが躍っていた。

 なるほどと記事を読みながら、最後に引っ掛かった。30億円規模の提案について語った不動産関係者の言葉である。関係者は「市が出なければ競争で入札価格はもっと上がったと思う」とも証言したことが、記事にある。

 しかし、その言葉を裏打ちするような数字や事実は書かれていない。どのようにしてその金額がはじき出されたのか。30億円を提示しようとした事業者の構想、試算を知りたいし、それ以上だそうという人たちの考えも知りたいところだ。

 大ざっぱな見積もりを聞き、それを記事化することは難しくなかろう。商売の基本はいくらで仕入れて、いくらで売って、いくら儲けるかである。

 例えば30億円で土地を購入して、オフィスビルや商業施設、分譲マンション、あるいはそれらを合わせた複合施設を建設するとしよう。どれくらいの建物ができるか。建設費はいくらぐらいかかるか。完成までにどのくらいかかるか。その間の資金繰りはどうするか。金融機関から借り入れをするのか否か-。いろんな試算が可能だろう。

 そして、最終的にどれくらいの収入が見込め、利益をどれくらい出せるのか。そんなことを考えて行けば、おのずと購入金額の上限が見える。採算が取れない、儲からないと判断した案件には企業は手を出さない。ここが行政との違いと言える。

 パルコ跡地に関心を示した企業がそれぞれどんな見通しを持ってどんな数字をはじいたのか。採算ラインをどの当たりに設定したのか-。こんなことも知りたいところである。

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